現在製造発行されている五円硬貨の意匠には産業に関するモチーフが用いられている。
硬貨の表面の稲穂、水(水面、稲穂の根元の複数の水平線)、歯車(穴の周り)はそれぞれ、農業、水産業、工業を表している。また、
裏面の双葉は林業、民主主義に向かって伸びていく日本を表している。この表裏は造幣局での便宜的な呼称で、
明治時代の硬貨と異なり法律上の表裏の規定はない。稲穂の粒は27粒、歯車の歯は16個、水を表す水平線は12本となっている。
原図制作者は加藤正巳氏。原型制作者は小柴利孝氏(1911(明治44年)?1989(平成元年))大阪造幣局工芸管理官(当時)。
五円硬貨の質量は、3.75 g である。これは、尺貫法のちょうど 1 匁である。
穴が空いている理由 .....硬貨の中心に穴が開いているのは、以下の理由による。
1948年(昭和23年)に発行された五円硬貨は、同じ年に発行された一円硬貨と同じく黄銅製であり(一円硬貨#変遷)、直径も2mmしか違わず
(一円硬貨は径20mm、五円硬貨は径22mm)、間違われることがあったため。特に視覚障害者にも判別を容易にするため。
材料費の節約という理由。約5%の節約になる。1948年(昭和23年)発行の五円硬貨の量目は4.0gであり、穴あき五円硬貨の量目は3.75gであるから、
実際には約6.3%の節約ということになる。(尚、この五円硬貨は毛筆書きのように跳ねや止めがある為 フデ五とも称される)
偽造防止のため。
現在発行中の日本の硬貨の中で、アラビア数字での額面表記がなく、漢数字のみで書かれた唯一の額面硬貨である。そのため、
非漢字文化圏の訪日外国人旅行者にとって、日本の漢字に素養がないと全く読めない硬貨になっている。
造幣局は「漢数字を使わなければならない理由はない。しかし2017年(平成29年)6月の時点で漢数字からアラビア数字へ変更する予定はない」
とコメントしている。図柄を変更すると、取り扱う機器の改修など影響が大きいという事情もある。
素材 黄銅 (真鍮)
品位 銅 60% - 70% 亜鉛 40% - 30%
量目 3.75 g 直径 22.0 mm 孔径 5 mm(穴あき)
図柄 稲穂、歯車、水(表面)
双葉(裏面) 周囲 平滑
発行開始 1949年(昭和24年) 111,896,000枚
発行終了 1958年(昭和33年) 550.000.000枚